• 院長エッセイ

■No.09■いまや、「国民総歯周病」の時代の到来です。

  今から30年程前、私が歯科大学の学生だった頃は、大学には歯周病科という講座はありませんでした。それ以前は歯槽膿漏(しそうのうろう)は不治の病で、いよいよ噛めなくなった歯は抜歯して入れ歯を入れることが治療であり、老人と呼ばれる年齢の人達は、ほとんどが入れ歯をしていました。その頃の歯科医は入れ歯が上手でなければ名医と呼ばれませんでした。逆に抜歯と入れ歯が上手であれば名医になれたのです。
 今は”8020運動”も定着し、「80才で20本の歯を残そう」という時代です。しかし歯科医療技術の進歩や歯科医の認識の変化にもかかわらず、歯周病は自覚症状が出にくく、また歯科医は恐ろしくてできればいきたくないという風潮があるからでしょう。
 しかし、このままではいけません。日本国民はもう少し歯周病に対する認識を高める必要があります。最近の食習慣は、歯にとって決して良いものではありません。インスタント食品、スナック菓子等が若者に好まれています。生野菜や繊維質の豊富な食品は嫌われ気味です。また、ストレス社会のため、唾液の分泌量が低下して口腔乾燥を引き起こしたり、食いしばり、咬みしめ等、歯周病の間接的な要因となることも増えています。
 歯周組織の破壊を食い止めるには、日常の予防がいちばん大切です。破壊されてしまった組織は100%もとに戻ることはできないからです。歯周病の怖さとともに、予防の大切さをしっかり認識していただければと願っています。

 
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